エンジニアが応用情報技術者試験を「実務に活かす」勉強法

キャリア

こんにちは、教育系エンジニアのひらまつ(@hiramatsuu)です。

ひらまつの簡単な自己紹介

書籍「ゼロからわかる Linuxコマンド200本ノック(技術評論社)」の著者。Udemy受講者6万人。
プログラミング教育をメインに活動するエンジニアとして、動画教材の作成・技術書の執筆・教育アプリの開発などを行なっています(詳しくはこちら)。

先日、こちらの記事で応用情報技術者試験(AP)について書きました。

こちらの記事では、初心者エンジニアには応用情報技術者試験をとてもおすすめできるという話をしました。

ただ、やみくもに受験すればいいわけではなく、正しい戦略と勉強法でのぞまないと、時間を無駄にしてしまう恐れもあります。

なので今回は、こちらの記事では書かなかった応用情報技術者試験の勉強法と、受験の効果を最大化するための戦略について書きたいと思います。

こんな方に役立つ記事になっていると思います。↓

  • 応用情報技術者試験を受験しようか悩んでいる
  • 応用情報技術者試験の勉強法に悩んでいる
  • 応用情報技術者試験の学習に最適な教材を知りたい
  • いまいち試験勉強のモチベーションが上がらない

応用情報技術者試験(AP)の概要については、公式のこちらのサイトをご覧ください。

試験区分一覧 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
情報処理推進機構(IPA)の「試験区分一覧」に関する情報です。

おすすめの教材については、こちらの記事で解説しています。

応用情報技術者試験を受験するメリットは?

まず、モチベーションを高めていくために、受験のメリットについて考えてみましょう。

応用情報技術者試験に取り組むと、どんなメリットがあるでしょうか?

公式では以下のページにメリットが書かれていますので、これら以外で考えてみましょう。

試験のメリット | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
情報処理推進機構(IPA)の「試験のメリット」に関する情報です。

僕が思うに、メリットは以下の2つに分けられると思います。

  • 資格を保持する」メリット
  • 「試験勉強に取り組む」メリット

一つずつ見ていきましょう。

「資格を保持する」メリット

まずは、応用情報技術者試験の「資格を保持する」メリットについてです。

この資格に限った話ではありませんが、エンジニアの場合、資格を持っていることがキャリアに大きく影響することは、ほとんどないと思います。

医者や弁護士、会計士などと違って、資格保持者しかできない業務があるわけではないので、これはある意味当然と言えます。

とはいえ、まったく意味がないというわけではありません。エンジニアやIT講師の求人の要件に、応用情報技術者試験が記載されていることもまれにあります。

ただこの場合も、資格を持っているかどうかというよりは、「応用情報技術者試験レベルの知識」が要件になっていることがほとんどです。

なのでまとめると、応用情報技術者試験の資格を保持しているからといって、大きくエンジニアのキャリアが前進する、ということはないと思っておいた方が良いです。

ただ一方で、エンジニアでない人が応用情報技術者試験の資格を持っておくことは有意義かもしれません。

エンジニアでもない人がこの資格を持っているとかなり目立つと思いますし、技術の話がある程度わかる人として、同僚のエンジニア達からは評価されるようになると思います。

やはり、結局はスキルの希少性が一番大事ということです。

ある程度経験を積んだエンジニアであれば、応用情報技術者試験くらいの知識は持っていることが多いので、あまり注目されませんが、ITに疎いチームの中に資格取得者がいたら重宝されるでしょう。

これだけ聞くと、エンジニアが応用情報技術者試験に取り組む意味はないの?と思うかもですが、安心してください。ここからが本題です。

「試験勉強に取り組む」メリット

ここからは、応用情報技術者試験の「試験勉強に取り組む」メリットを見ていきましょう。

キタミ式本などの試験対策本の目次を見ていただければわかるように、応用情報技術者試験では、コンピュータの仕組みやハードウェア、OSにアルゴリズムなどの、初心者エンジニアがおざなりにしがちな、いわゆる低レイヤーの知識が広く出題されます

また、低レイヤーだけでなく、初心者エンジニアには触れる機会の少ない、ネットワークやセキュリティといったインフラの知識も出題されます。

こういった知識というのは、学んだそばから給料が上がるという、即効性のある知識では決してありません。

ですが、エンジニアとしての長期的なキャリアを考えた時には、知っているかどうかで成長具合が大きく変わってくる、そんな性質の知識だと思います。

また、これらの知識はもし知らなくても、短期的にはなんとかごまかせてしまうことも多いので、必要性にせまられて学ぶ、とはなりづらいです。

つまり、応用情報技術者試験は、長期的な成長に役立つが、学ぶモチベーションが湧きづらい知識を身につけるきっかけにできるということです。

それに加えて、こういった低レイヤーやインフラの知識は、どのレベルまで学べばいいかが非常にわかりづらいという性質もあります。

例えば、コンピュータの仕組みを知りたくて、パタヘネ本を買ったけれど、内容が多すぎて結局読めなかった、みたいな方は結構多いと思います。(というか、以前の僕です。汗)

なので、「応用情報技術者試験に合格できるレベルの知識」という、インプットで達成すべき基準を明確にすることができるというのも、応用情報技術者試験の試験勉強に取り組むメリットと言えます。

さらにむずかしいのが、ほとんどのエンジニアにとって、低レイヤーの知識は学んだほうがいいけど、学びすぎも良くないというジレンマです。

なぜなら本来は、小難しい低レイヤーの知識を開発者が意識しなくてもいいように、なるべく中身を隠ぺいする、という流れでソフトウェアは進化してきています。

例えばAWSなども、インフラの低レイヤーの部分の理解や、運用に使う生産的でない(サービス価値の向上につながらない)時間を、サービスの価値の向上に使えるようになるのが大きなメリットなわけです。

AWSそのものを開発しているような一部のエンジニアであれば話は別ですが、ほとんどのエンジニアにとっては低レイヤーやインフラの詳細すぎる知識よりも、他にもっと学ぶべきことがあるでしょう。

なのでまとめると、低レイヤーは全く知らないと困ることが多いけど、低レイヤーの勉強に時間をかけすぎてもいけない、というジレンマがあります。

そういった知識を試験日までの一定期間で、試験レベルの知識だけを身につける機会にできる応用情報技術者試験は、とても便利な教材であるということです。

また、試験日が決まっていることで、締め切り効果も生まれるので、勉強が捗りやすいのもGoodです。

一つ注意点としては、応用情報技術者試験の受験タイミングは早すぎてもいけない、ということです。

低レイヤーやインフラの知識は、コードがかけなかったり、アプリケーションがどう動いているかを全く理解していない状態で学んでも、興味を持てないと思います。

なので、ある程度コードが書けるようになって「インフラよくわからん」とか「ハードウェアを知っておきたい」という状態になってから受験するのがおすすめです。

受験するメリットのまとめ

長くなってきたので、ここまでの話をいったんまとめておきましょう。

  • 応用情報技術者試験(AP)には、①資格保持のメリットと②試験勉強に取り組むメリットの2つがある。
  • ①APの資格を持つことによるメリットは、エンジニアであればほとんどないが、エンジニアでない人ならITわかる人と認識されるようになるかも。
  • ②APの試験勉強に取り組むメリットが、初心者エンジニアにとっては大きい。長期的な成長に役立つ。
  • 低レイヤーやインフラの知識を学ぶきっかけにもなる上に、試験の合否が勉強の達成基準にもなるので、知識を過不足なく学べる。締め切り効果もあるので勉強も捗りやすい。
  • 初心者エンジニアであれば、ある程度コードが書けるようになった段階での、APの受験がとてもおすすめ!

応用情報技術者試験の効果を最大化する戦略

ここまでで、初心者エンジニアが応用情報技術者試験に取り組むメリットは分かったと思います。

実はこのメリットが理解できると、応用情報技術者試験の学びを最大化するための具体的な戦略が、自然と見えてきます。

どういう戦略かと言うと、大きく以下の2つです。

  • 「資格を取ること」ではなく、「知識を身につけること」を目標にする
  • 短期記憶ではなく、長期記憶に残すような学習をする

どういうことか、一つずつみていきましょう。

「資格を取ること」ではなく、「知識を身につけること」を目標にする

前に書いたように、応用情報技術者試験の資格そのものには、ほとんど意味がありません。

資格の取得が目的でない、ことを強く意識するのは実はとても大事なことです。

なぜかと言うと、これを意識していないと、時間の使い方を間違えてしまうからです。

応用情報技術者試験では、さまざまな知識が問われます。

その中には、テクノロジ系と呼ばれる技術の話だけでなく、マネジメント系やストラテジ系と呼ばれる、プロジェクトマネジメントやシステム監査・法律などの内容も含まれます。

ここでいったん考えていただきたいのですが、こういったテクノロジ以外の知識は、あなたにとって本当に必要な知識でしょうか?

当然、人によってはこれらの知識も仕事に必要だったり、興味を持てる内容だったりするかと思います。

ですがここで言いたいのは、「試験範囲の内容すべてが、同じ重要度ではない」ということです。

真面目な人ほど、試験範囲をまんべんなく学んでしまいがちです。

ですが、さほど興味もない内容を、「試験範囲に含まれているから」という理由で勉強するのは、「資格を取りたい人」においては妥当ですが、そうでない人にとっては間違った判断です。

あくまでも応用情報技術者試験の受験は、勉強のきっかけでしかないということを忘れないようにしてください。

なので、いま興味のない分野は思い切って学ばないことにしましょう。

「いつか役立つから」という理由で、いま興味のないことを学んでも意味がないです。YAGNIを意識しましょう。

その代わりに、学びたい分野では満点を取るくらいの気持ちで勉強しましょう。

実際、技術以外の内容を捨てたとしても、合格点には到達できます。

応用情報技術者試験の出題内容と合格基準

  • 午前、午後試験とも6割以上の正答率が合格の要件。
  • 午前試験:テクノロジ系50問、全80問。テクノロジ系を全問正解すると62%の正答率。かつ4択なので、残り30問中7~8問は当たる。
  • 午後試験:大問を4つ選択する。すべてテクノロジ系を選択することもできる。

僕が受験したときも、テクノロジ系以外の勉強は一切せずに合格しました。(午前80点。午後65点。午後が低い言いわけ理由は後述)

つまり、学ぶ内容を厳選したことは、不合格の言い訳にはならないということです。



もっと言えば、テクノロジ系の中でも興味のあるものだけを勉強するようにしましょう。

一番大事なのは資格をとることではなく、学びたいことを試験を通じて、しっかりと身に付けることです。

やみくもに勉強を開始する前に、「自分が今ほんとうに学びたいことはなにか?」を考えて、どんな分野でどのくらいの得点をすることで合格点を取るのかを計画しましょう。

資格の取得は目的ではありませんが、とはいえ習得度の評価基準として合否は重要です。ぜったいに合格するつもりで勉強しましょう。

短期記憶ではなく、長期記憶に残すような学習をする

また、なにを学ぶか?だけでなく、どのように学ぶか?も大事です。

重要なことなので何度も確認しますが、初心者エンジニアが応用情報技術者試験を受験するのは、この試験で学んだ知識を、長期的な成長に役立てるためです。

ですので、試験が終わったら学んだ内容を忘れてしまうような、一夜漬けスタイルの勉強では、受験する意味がまったくありません。

試験が終わった後も、学んだ内容を覚えているように、長期記憶に残すことを意識した学習が必要です。

そして、知識を長期記憶に残すために必要なのは、忘れたころに思い出す、いわゆる検索練習です。

検索練習はアプリを使うとやりやすいので、Ankiのようなアプリを使用することをおすすめします。

Ankiを用いて長期記憶に焼き付けるプログラミング学習方法については、近日中に別記事で書きますので、しばしお待ちください

おすすめの勉強法

ここまでで、受験の効果を最大化するための戦略について確認しました。ここからは、おすすめの勉強法について見ていきましょう。

こちらで紹介する勉強法では、こちらの記事で紹介している教材をつかうのがおすすめです。

どの教材も僕が実際に購入して読んだものです。これら以外にもたくさん読んできたのですが、本当におすすめできる20冊+αを厳選して紹介しています。

使う書籍で迷う時間はとてももったいないので、まずはここで紹介している本を使って勉強を開始してしまうのがおすすめです。どれも買って損はしません。

まず、勉強法と言っても、以下の2種類があると思います。

  • 目標別の勉強法(AP、TOEIC、大学受験、など)
  • 目標によらない勉強法(習慣化の方法、理解度UP、長期記憶に残す、など)

今回見ていくのは、上の目標別の勉強法です。つまり、応用情報技術者試験に特有のことについて見ていきます。

なので、目標によらない勉強法については、本記事のスコープ外です。こちらが気になる方は、以下のUdemyコースでお話ししていますのでどうぞ。(3つのうち1個は無料コースです。)

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どれも、「もっと若い時に知っておきたかった」と評判のコースです。これらの知識は応用情報技術者試験以降の勉強にも役立ちますので、この機会に学んでおくといいんじゃないでしょうか。

話をもどして、ここからは応用情報技術者試験を乗り越えるための勉強法をみていきましょう。

勉強法をまとめると、以下のようになるかなと思います。

  1. 受験日を決めて申し込む
  2. どんな試験なのか調べる
  3. どんな点の取り方をするのか決める
  4. 教材を用意する
  5. まずは午前の対策をする
  6. 午後は問題演習して形式に慣れる+知識の復習
  7. 学んだ知識を実務で使う

受験日を決めて申し込む

応用情報技術者試験は、4月の第3日曜日に実施される「春期試験」と、10月の第2日曜日に実施される「秋期試験」の、年2回だけ開催されます。

各試験の申し込み期間は、試験日の3ヶ月前から1ヶ月間くらいの期間です。

なので、各試験の情報をまとめると、以下のようになるということです。

試験名申し込み期間試験日
春期試験1月の第3日曜日付近の1ヶ月間4月第3日曜日
秋期試験7月の第2日曜日付近の1ヶ月間10月第2日曜日

申し込みを完了させてから勉強をはじめた方が、モチベーションが高まるので、まずは試験の申し込みを完了させましょう。

受験を決めたタイミングが、申し込み期間ではなかった場合は、試験の申し込みを行う日をカレンダーに登録しておきましょう。

どんな試験なのか調べる

つづいて、応用情報技術者試験がどんな試験なのか調べましょう。この記事を読んでいるなら、すでにこの段階にいる方が多いと思います。

調べて明らかにすべき内容は、以下のようなものです。

  • どんな問題が出題されるのか?
  • 合格の基準は?
  • 問題の形式は?
  • 試験時間は?
  • 当日の持ち物は?

特に重要なのが、「どんな問題が出題されるのか?」です。これを調べるために、まず最初に過去問道場で、前回の問題に取り組んでみるのもおすすめです。

午後試験は上で紹介した、午後問題の重点対策を解いてみたり、実際には解かずとも、本のはじめに書いてある試験の傾向やデータなどに目を通しておくのがいいでしょう。

あらゆる試験に言えますが、まず最初にどんなことが問われる試験なのかを確認しておかないと、まったく的外れな勉強をしてしまうおそれがあります。

ここで注意していただきたいのが、試験について調べはしますが、「試験に受かるための勉強」を自然としてしまわないようにする、ということです。

あくまでも、試験を受けるそもそもの目的を忘れないようにしましょう。(もう書かなくても大丈夫ですよね?)

上記の質問に答えれらるようになったら、次のステップです。

どんな点の取り方をするのか決める

どんな試験なのかを調べることができたら、いよいよどんな点の取り方で合格するのかを決めていきます

これがまさに、先ほど述べた戦略を、勉強法に反映していく作業になります。戦略を戦術に落とし込んでいく作業とも言えると思います。

戦略があるだけでは、目標達成できません。戦略を実行に移すための「戦術」があるからこそ、目標に近づいていくことができます。

どんな点の取り方をするかは、人によって大きく変わると思います。

人によってやっている業務も異なるでしょうし、興味関心も違ってくるからです。

ですから、まずは以下のような質問を自分に投げかけることで、学びたいことを明確にしていきましょう。

  • 「自分の業務に必要な知識はなにか?」
  • 「自分はなにに興味があるのか?」
  • 「自分の目標に近づくためにはなにを学べばいいのか?」

この答えは、あなたの中にしかありません。自分と会話して学ぶべき知識を選択していきましょう。

学びたいことが決まったら、その分野を全問正解したら何点とれるのかを計算しましょう。

応用情報技術者試験を受けるべきタイミングにある人ならば、自分の興味のある分野だけを正解したとしても、合格点に到達できるくらいには、学びたいことが出てくると思います。

もし、学びたいことを一通り洗い出したけれど、それだけだと60点に到底届かない、という方はもしかすると、応用情報技術者試験を受けるべきタイミングではないのかもしれません

その場合は、試験を受けても得るものが少ないので、いったん受験を延期するのもありだと思います。

これらの作業を通じて、例えば以下のように点の取り方を決めることができたら、このプロセスはOKです。

  • キタミ式のChapter1〜14までの内容は、全問正解できるようにする。
  • Chapter15以降は、ソフトウェアテストやUMLなどの興味のある箇所は全問正解できるようにする。
  • 上記の内容を全問正解すると、過去回の出題傾向から考えて午前70点、午後70点は取れるはず。
  • 70点がMaxだと少し不安なので、少し興味のあるプロマネや著作権周りも追加で勉強しよう。
  • そうすれば午前午後ともに75点は取れるはず。Max75点なら正解率8割でも60点に届くので安心だ。

ここでの点数の見積もりは適当ですが、こんな感じでどんな点数の取り方をするのか決めていきましょう。

教材を用意する

点の取り方が決まったら、いよいよ勉強を始めていきます。

先ほど見出した取り組む分野を学ぶための教材を、一通り用意しましょう。

これは先ほど、紹介したおすすめ本の中から選んでおけば問題ないと思います。

もし買った教材で勉強していく中で、教材が自分には合わないことが判明したら、その時には別の教材を利用することを考えましょう。

教材で迷ったら全部買ってしまって、読んでみて一番いいものを使う、というスタイルがいいと思います。(僕はそうしてます。)

一番大切なのは、教材代という「はした金」ではなく、「あなたの時間」です。どの教材を買うか考えることに、時間を使いすぎないようにしましょう。

買った教材で学んだことをしっかり身につけて、あなたが仕事で使えたなら、教材代なんてすぐに取り返せます。

まずは午前の対策をする

教材が買えたら、さっそく勉強をはじめていきましょう!

応用情報技術者試験に取り組む上では、まずは午前試験の対策をして、それから午後試験の対策をする、というのが基本の流れになるかと思います。

なので、購入した教材を用いて、コツコツ勉強を行っていきましょう。

勉強を進める上でのポイントとしては、やはり「実用を意識した学習」をするということです。

例えば、ただ単に「スタックはLIFOのデータ構造だ」ということを覚えて終わるのではなくて、

  • 身の回りでスタックのデータ構造ってなにがあるかな?
  • これまでの仕事でスタックの概念が登場したことはないかな?
  • スタックは普段の業務で使っている技術でも使われているのかな?
  • スタックという概念は、仕事や人生にどう役立てることができるかな?

というようなことを考えることで、試験対策のための知識ではなく、仕事や人生をより良いものにするための知識として身につけられるようにしましょう

それに加えて、先ほど紹介したAnkiを用いた学習や、Udemyコースで述べている学習方法を組み合わせると、さらに効率的に学習を進めていくことができます。

ある程度、知識が身についてきたと思ったら、過去問道場などに取り組んでみて、現状の自分の理解度と、何割の正解ができるレベルなのかの確認を行いましょう。

問題に取り組むと自分の理解不足が明確になるので、理解不足だった箇所をもう一度勉強し、また過去問道場に取り組む、ということを繰り返していきましょう。

過去問道場で自分が目指している正答率が達成できたら、午後試験の学習に進んでいきます。

午後は問題演習して形式に慣れる+知識の復習

午後試験の基本の対策もやはり、演習問題を解くことだと思います。

午後問題の重点対策の演習問題に取り組むことで、午後試験の問題形式に慣れつつ、これまでに学んだ知識の復習をしていきましょう。

午後試験は4つの分野を選択して回答する形式なので、どの分野を選択するのかあらかじめ考えておきましょう。

試験当日に選択する予定の分野の演習問題は、すべて解いておくのがいいと思います。

午後試験対策のポイントとしては、以下の2つがあるかなと思います。

  • 自分が学びたい分野だけ対策する
  • 考えればわかる系の分野の対策に時間をかけすぎない

自分が学びたい分野だけ対策する

応用情報技術者試験の勉強法の記事には、このように書かれてることが多いです。

某ブロガー
某ブロガー

毎回、分野ごとに難易度がすこし変わるので、その回でかんたんな分野を選べるように、4分野だけでなく、いくらか多めに対策しておきましょう!

ここまで読んでいただいている方ならお気づきでしょうが、これも結局はケースバイケースです。

自分の学びたい分野が4問よりも多いならば学べばいいと思いますが、学ぶモチベーションもないのに、試験対策のためだけに追加で対策するのは、本記事の戦略から考えると悪手です。

「応用情報技術者試験の受験を通じて何を得たいのか?」を意識して、学ぶ分野を判断しましょう

考えればわかる系の分野の対策に時間をかけすぎない

これはどういうことかと言うと、例えば「プログラミング(アルゴリズム)」や「システムアーキテクチャ」は、最低限の知識があるなら、よく考えれば解けるようになっています。(ここで言う最低限の知識は、午前対策をしていれば勝手に身につきます。)

こういった、考えればわかる系の分野の対策は、頭の体操にはなりますが、知識の増強にはなりません。

なので僕の場合は、午後試験で選択した「プログラミング(アルゴリズム)」や「システムアーキテクチャ」については、どのような問題が出るのかを1,2回ほど演習問題に取り組んで確認しただけで、対策を終えました。

これも結局は、「応用情報技術者試験の受験を通じて何を得たいのか?」によるのですが、僕の場合は頭の体操に時間を使うよりも、やるべきことがほかにあると感じたので、対策に時間を使いませんでした。

やはり、自分の受験の目的を常に意識しながら、時間の使い方を選択していきましょう。

学んだ知識を実務で使う

本記事の戦略をもとに、ここまで書いてきた勉強法を実践すれば、応用情報技術者試験に合格するだけでなく、エンジニアとしても大きく成長するきっかけを得られることでしょう。

ただ、ここで勉強をやめてしまうのは、とてももったいないです。

ここまで学んだ知識を、実際の開発でつかってみましょう。学んだ知識は、実際の開発で使うことではじめて、あなたの血肉となります。

なので、仕事で使う場面があるならば、さっそく使っていただきたいですし、もし現在の業務では使う機会があまりないとしたら、自分でサービス開発を0からはじめてしまうのもおすすめです。

また、実際に知識を業務でつかうことで、試験に取り組んだことによる成長をいっそう感じられると思います。

試験勉強の締めとして、最後に取り組んでみてください。

試験当日の注意点

さいごに、試験当日の注意点をいくつか見ておきましょう。

  • 試験時間に要注意
  • 時計を忘れずに
  • 応用情報技術者試験ドットコムは使えない

試験時間に要注意

これ、ほんとうに注意が必要です。僕はこれにめちゃめちゃ苦しめられました。

応用情報技術者試験は、午前試験が9:30~12:00の150分間、午後試験が13:00~15:30の150分間です。

僕は11:00〜13:00が集中力のピークで、14:00〜16:00くらいまで集中力がガタ落ちし、17:00くらいに回復してくるクロノタイプです。

なので実際に試験当日は、開始1時間でまったく頭が回らなくなってしまい、午後試験の文章題を読むことができなくなってしまいました。

逆に午前試験は集中力のピークが来ていたので、なかなかの集中力で取り組めたのですが、それがむしろ良くなかったようです。

午前試験で集中力を使い切ってしまったので、午後試験ではまったく集中できず、試験中に「これは落ちた」と絶望しました。

それでも、なんとか力を振り絞って空欄を埋めましたが、凡ミス多発でギリギリの合格になりました。

なので、ぜったいに合格したいという方は、自分の集中力の波をあらかじめ理解した上で、戦略を立てた方がいいかもしれません。

それと、午前試験で飛ばしすぎるのは禁物です。僕は見直しを3回くらいしてしまいましたが、合格点に到達していることはわかっていたので、午後試験に集中力を温存しておくべきでした。

集中力のマネジメントも、合格・不合格を決める重要な要素です。

時計を忘れずに

試験会場に時計がないことがほとんどなので、時計の持参が必要です。

僕は時計を持っておらず、スマホで時間確認する派なので、時計を持って行かずに受験しました。

終了時間が近づいた時のアナウンスがあったのでなんとか耐えましたが、時計があった方が精神的には良いと思います。

スマートウォッチとかも使えないので注意が必要です。

応用情報技術者試験ドットコムは使えない

応用情報技術者試験ドットコムは、受験生のほとんどが利用しているサービスです。

なので、試験当日には受験生が最後の確認をしようと、いっせいにアクセスします。みんな考えることは同じです。

サーバーの増強は当然していると思うのですが、それを超えるアクセス数なのか、僕が試験会場でアクセスを試みたときには、まったく使うことができませんでした

なので、試験当日の最終確認には、応用情報技術者試験ドットコムは使えないものだと思っておいた方が良いです。書籍やローカルにダウンロードした教材など、オフラインで使えるものにしておきましょう。

おわりに:応用情報技術者試験には、戦略を持って取り組もう

ここまで応用情報技術者試験(AP)を最大限に活用するための戦略と、具体的な勉強法について見てきました。

本記事を通じて一番伝えたいことは、「戦略なしに取り組むと行動を間違える」ということです。

この記事を読んでいただいたあなたが、応用情報技術者試験を最大限活用して、エンジニアとしてよりいっそう成長されることを願っています!

おまけ:ひらまつの試験結果

おまけとして、ひらまつの試験結果をのせておきます。「こいつ、大したことないな笑」と笑ってやってください!

午前試験:80点

分野別得点↓

分野得点(得点率)満点
ストラテジ系21.25点(85.0%)25.00点
マネジメント系10.00点(80.0%)12.50点
テクノロジ系48.75点(78.0%)62.50点

午後試験:65点

選択した問題と予想点数↓

  • 情報セキュリティ(必須問題):10点
  • プログラミング:20点
  • システムアーキテクチャ:15点
  • ネットワーク:10点
  • データベース:10点

勉強時間

  • 50時間程度(カレンダーに勉強時間メモっているので、わりと正確だと思います。)
  • 試験日の2ヶ月半前から対策開始

とはいえ僕の場合、出題範囲のほとんどの知識は、すでに持っている状態での対策開始だったので、あまり参考にはならないと思います。

また、どの分野を学ぶかで大きく変わってくるので、他の人の勉強時間は参考にしすぎず、自分で見積もるのが一番正確だと思います。

感想

  • テクノロジ系しか勉強しなかったのに、テクノロジ系が一番点数低い。
  • この理由のひとつは、テクノロジ系も一部しか勉強しなかったから。
  • もう一つの理由は、午前午後ともに、マネジメント系とストラテジ系はテクノロジ系よりも簡単だから。
  • とくに午後試験高得点者は、マネジメント系とストラテジ系を多く選択している印象
  • なので、所属企業の要求とかで合格が必須要件なら、テクノロジ系以外にも注力すると安心。
  • 午前は自己採点どおりで、午後は自己採点よりも高かった。
  • 試験から結果発表まで2ヶ月くらいあるので、結果が気になってしまいがち。
  • だが、結果を気にするよりも試験の復習をしたり、新しいことを学び始める方が100倍有意義。
  • APに合格すると、ほかの試験の午前試験が免除されるという特典にまどわされて、追加の受験を考えがち。
  • だが、さらに資格をとるよりも、APで学んだ知識を使って、自分でサービス開発をした方がほとんどの人にとって有意義なので誘惑には逆らうのが吉。
  • 点数公開することになるなら、もっと勉強しておけばよかった(とはいえ戦略としてはこれでいい)

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