こんにちは、教育系エンジニアのひらまつ(@hiramatsuu)です。
書籍「ゼロからわかる Linuxコマンド200本ノック(技術評論社)」の著者。Udemy受講者8万人。
プログラミング教育をメインに活動するエンジニアとして、動画教材の作成・技術書の執筆・学習アプリの開発などを行なっています(詳しくはこちら)。
本記事では、数多くあるLinuxの書籍やオンライン教材などの中から、私が実際に読んでみた中で特に良かったものだけを紹介していきたいと思います。
「Linuxを学びたいけれど、何から学んでいいかわからない、、」という方や、「Linuxの本を1冊読み終えて、さらに学びを深めたい!」という方にとって、参考になる記事になっていると思います。また、本記事の最後には、Linuxの学習のロードマップを掲載していますので、こちらも参考にしてみてください。
厳選おすすめ本6冊!
ゼロからわかる Linuxコマンド200本ノック―基礎知識と頻出コマンドを無理なく記憶に焼きつけよう!
まずLinuxを学ぶ上で紹介したいのは、拙著「ゼロからわかる Linuxコマンド200本ノック―基礎知識と頻出コマンドを無理なく記憶に焼きつけよう! 」です(1冊目から手前味噌で大変恐縮ですが、やはりLinuxの初心者の方には、一番おすすめできる本だと個人的には思っているので、紹介させてくださいm(_ _)m)。
本書は、Udemyでベストセラーになった私の講座「もう絶対に忘れない Linux コマンド【Linux 100本ノック+名前の由来+丁寧な解説で、長期記憶に焼き付けろ!】」を元にして執筆した書籍です。もとの講座の良さはそのままに、さらにわかりやすく、身につけやすいように再構成しています。
本書の特徴としては、主に以下の3つかなと思います。
- コマンドやオプションの「由来」をできる限り解説
- 「暗記がいらなくなるレベル」の理解を目指した、とことん丁寧な解説
- 「200問」の演習問題で記憶にこびりつく
本書についてはより詳しく紹介記事も書いていますので、より詳しい情報を知りたい方はこちらをご覧ください。
新しいLinuxの教科書
続いては、「新しいLinuxの教科書」です。本書はLinuxの入門書として、すでに定番となっているロングセラー本です。
いかんせん古い本(2015年発売)なので、実行環境に古いバージョンのVirtualBoxを使っていたり、現在ではサポート終了が決定しているCentOSを使っているのが玉にきずですが、それでも本書の解説の質と、扱う内容のボリュームのバランスは、同じLinux本の著者として脱帽です。
おそらく改訂版が今後数年の間に出版されるのではないかと、個人的には予想しております。 ※2024/4追記:やはり改訂版が出ました。👇
また、シェルスクリプトをより詳しく知りたいという方は、同じ著者の「新しいシェルプログラミングの教科書」もおすすめです。
シス管女子シリーズ
マンガで学びたいという方は、シス管女子シリーズが良いでしょう。
マンガなので読むハードルが低いのはもちろんですが、シス管女子シリーズでは、
- 主人公が実務でつまづく
- 先輩社員が解決策を教えてくれる
という流れで話が進むため、実務に活かしやすい形で知識を習得することができるという特徴があります。
もちろん、マンガで絵が多くなる分、1冊あたりの情報量は少なめなのですが、拙著などの入門書1冊に取り組んだ上で、足りない知識を補完するような形で使用すると効果的だと思います。
Linux+コマンド入門 ——シェルとコマンドライン、基本の力
「Linux+コマンド入門 ——シェルとコマンドライン、基本の力」も非常におすすめです。
本書は、Linuxコマンドに関するリファレンスというような感じの本になっており、情報量で言えば間違いなく類書の中でNo.1と言えるでしょう。
「入門」とタイトルにはありますが、解説の丁寧さ・レベル感としては、入門書を1冊読み終えている程度の方を想定しているような印象です。なので、1冊入門書を読んだ上で、手に取ることをおすすめします。
※ちなみに、本書の著者の西村めぐみさんは、拙著のレビュアーの1人ですが、私が本書をおすすめしていることとは何の関係もありません。
[試して理解]Linuxのしくみ ―実験と図解で学ぶOS、仮想マシン、コンテナの基礎知識【増補改訂版】
これまで紹介した書籍は、Linuxの「コマンド」を学ぶためのものでしたが、Linuxで学ぶべきテーマはコマンドだけではありません。他に学ぶべきテーマとしては、Linuxカーネルなどの、OSの仕組みに関する内容です。
そういった内容を学ぶ上での1冊としては、「[試して理解]Linuxのしくみ ―実験と図解で学ぶOS、仮想マシン、コンテナの基礎知識【増補改訂版】」が良いでしょう。
本書は、Linuxの仕組みについて広く扱っているので、コマンドを使うだけでなく、カーネルなどのOSの仕組みについて知りたくなってから読むと、大きな学びが得られるはずです。
ふつうのLinuxプログラミング 第2版 Linuxの仕組みから学べるgccプログラミングの王道
Linuxの仕組みの中でも、特にシステムコールについて深掘りしたいという方は「ふつうのLinuxプログラミング 第2版 Linuxの仕組みから学べるgccプログラミングの王道」がおすすめです。
本書を読むことで、普段使っているLinuxコマンドがどのように実現されているのかを知ることができるでしょう。
ちなみに、Linuxというテーマからは少し外れますが、同じ著者の「ふつうのコンパイラをつくろう 言語処理系をつくりながら学ぶコンパイルと実行環境の仕組み」もおすすめの本です。
アプリ開発をしていると、多くの時間をデバッグに費やすことになると思います。デバッグの中でも特に、初心者の方にとっての壁となるのが、ビルド時に発生するエラーの解消です。
ビルド時に発生するエラーは、ビルドのプロセスを理解していないと解消が非常に難しいものが多いので、本書で(広義の)コンパイルについて学んでおくと、ビルド時のエラーにかなり対応しやすくなり、デバッグの時間を大幅に削減することができるはずです。
Linux学習ロードマップ
最後に、ここまでに紹介した本を使って、Linuxのスキルアップをしていくためのロードマップを示しておきたいと思います。大きな流れとしては、
- 基本のコマンドを習得
- 各自必要な知識をインプット
というものになります。
具体的には、以下の順番で書籍を読み進めていくと良いと思っています。
- ゼロからわかる Linuxコマンド200本ノック―基礎知識と頻出コマンドを無理なく記憶に焼きつけよう!を完璧にする
- Linux+コマンド入門 ——シェルとコマンドライン、基本の力を読んで、コマンド操作の全体感を把握する
- 実務への活かし方がいまいちわからなかったら、シス管女子シリーズを読む(各書の目次を見て必要そうなものだけ)
- 業務で必要になったり、自身の興味に応じて、シェルスクリプトやLinuxの仕組みについて、上記のおすすめ本やそれ以外の教材で学ぶ
ゼロからわかる Linuxコマンド200本ノック―基礎知識と頻出コマンドを無理なく記憶に焼きつけよう!を完璧にする
まずは、拙著「ゼロからわかる Linuxコマンド200本ノック―基礎知識と頻出コマンドを無理なく記憶に焼きつけよう!」を完璧に理解すると良いと思います。本書はどんな用途でLinuxコマンドを使う方にも絶対に必要な知識だけを厳選して扱っているので、本書の内容はすべて深く身につけてしまうのがおすすめです。
Linux+コマンド入門 ——シェルとコマンドライン、基本の力を読んで、コマンド操作の全体感を把握する
拙著が完璧に身に付いたら、「Linux+コマンド入門 ——シェルとコマンドライン、基本の力」を読み、Linuxコマンドの知識の全体感を把握しましょう。本書で全体感を掴んだ上で、気になったところを深掘りして、Web検索や別の教材も活用しながらインプットしていきましょう。
実務への活かし方がいまいちわからなかったら、シス管女子シリーズを読む(各書の目次を見て必要そうなものだけ)
上記2冊を読んで、実務にどう活かすかがいまいちわからなかった場合には、シス管女子シリーズを読むと良いでしょう。シリーズすべてを読む必要はありません。各書の目次を見て、自分に必要そうなものがあれば、読んでみると学びがあるはずです。このプロセスは、実務での活かし方がわかっている場合には不要です。
業務で必要になったり、自身の興味に応じて、シェルスクリプトやLinuxの仕組みについて、上記のおすすめ本やそれ以外の教材で学ぶ
ここまできたら、Linuxコマンドについては、あとはその都度Web検索するだけで、問題ないレベルになっているはずなので、コマンド以外のLinuxの知識についても学んでいきましょう。具体的には、先ほど紹介したシェルスクリプト・OSの仕組みなどの知識や、ネットワークやセキュリティなど、さまざまなものがあります。Linuxの開発に関わることに興味が出たら、C言語なども必要でしょう。ここまで来たら、業務で必要なものや、ご自身の興味に応じて、必要なものを学んでいってください。
というわけで
おすすめ本とロードマップについて、お伝えしてきました。具体的な教材については、お好みのものを選べば良いと思いますが、おおまかな流れとしては、このような感じではないと思っております。
「Linuxを学ぶ1,2冊目として、これ以上ないものにする」ことを目指して執筆した拙著も、良かったら概要だけでもいいのでチェックしてみてください。
※ちなみに、ここで紹介した本の中でキャッチ画像に載っていないものは、電子書籍で所持しています。