こんにちは、教育系エンジニアのひらまつです。
2023年3月8日に、拙著「ゼロからわかる Linuxコマンド200本ノック―基礎知識と頻出コマンドを無理なく記憶に焼きつけよう!」が発売されました。
本記事では、著者本人が本書の特徴の紹介をしていきたいと思います。本書を購入するか迷っている方は、ぜひ検討の材料にしてみてください。
頂いた感想
本書の特徴
本書は、Udemyでベストセラーになった私の講座「もう絶対に忘れない Linux コマンド【Linux 100本ノック+名前の由来+丁寧な解説で、長期記憶に焼き付けろ!】」を元にして執筆した書籍です。もとの講座の良さはそのままに、さらにわかりやすく、身につけやすいように再構成しています。
本書の特徴としては、主に以下の3つかなと思います。
- コマンドやオプションの「由来」をできる限り解説
- 「暗記がいらなくなるレベル」の理解を目指した、とことん丁寧な解説
- 「200問」の演習問題で記憶にこびりつく
言葉だけでは伝わりづらいと思うので、本書の中身を実際に見ていきましょう。
見やすいページレイアウト
まずパッと見たときの、親しみやすさを大切にしています。見やすいページレイアウトで、快適に読み進めることができます。
ほぼすべてのコマンド・オプションに由来や覚え方を記載
ほとんどのコマンド・オプションでは、由来や覚え方をセットで解説しています。そのままでは覚えづらいコマンドも、由来を知ることで楽に覚えることができるようになります。
また、コマンドやオプションだけでなく、Ctrl + dのようなキー入力についても、覚え方をできる限り記載しています。
「ポイント!」で要点を確認
各節の最初には「ポイント!」として、各節の要点のまとめが記載されているので、概要を把握してから本文を読み始めることができます。おおまかな内容がわかっている状態で本文を読むことで、スムーズに理解できるようにしています。
「なぜ?」を大切にした丁寧な解説で深く理解できる
本書の中には、「なぜ」という文言が頻繁に登場します。「なぜ」を理解することが深い理解につながるからです。本書では、単なるコマンドの機能の紹介だけで終わらず、そもそもなぜその機能が必要なのか?メリット・デメリットは?とった話を省略せずに説明しています。
コマンドの機能だけを知りたいなら、Google検索で十分なはずです。やはり書籍の価値は、体系的な理解が得られるというところにある、と個人的には思っているので、「なぜ?」を大切にして、できる限り丁寧に解説しています。
節の最後にノックで知識を確認
本書では「200本ノック」という200問の演習問題を用意しています。ノックは各節の最後に用意されているので、本文を読み終えてから取り組めば、「わかったつもり」で終わらずに、しっかりと理解した上で次の節に進むことができます。
コマンドの問題だけでなく、用語の意味を問うノックや、機能のメリットを問うノックもあるため、単なるコマンドの暗記で終わらず、応用力もしっかりと身につけることができます。
章末ノックで知識の総ざらい
各章の最後には、その章で登場したノックを、章末ノックとしてまとめています。次の章に進む前に取り組むことで、確実に理解してから新しいテーマを学べるようになるため、知識が繋がりやすくなります。
本書の構成に沿って読み進めていくと、節の最後と章の最後で2回、演習問題に取り組むことになるので、自然と記憶に定着しやすくなります。
全3回の付録のシャッフルノックで記憶定着をダメ押し
本書のダウンロード付録として、200問のノックの順番をシャッフルした「シャッフルノック」を3回分用意しています。ランダムな順番で出題されることで、より学習効果を高めることができます。
本書を読み終えたら、シャッフルノックで知識の総仕上げをしましょう。
最新環境で実際に入力して学べる
本書では、以下の画像の環境でコマンドを実行してます。
2022年末のVirtualBoxのメジャーアップグレードに対応しているので、最新環境でコマンドを動かすことができます。
効率的な学習方法を紹介
本書中では、効率的に知識を身につけるための取り組み方を紹介しています。心理学などの研究を根拠にした進め方なので、やみくもにやるよりも、はるかに効率的に学ぶことができるはずです。
本書の対象読者
本書は、「Linuxを学ぶ最初の1,2 冊目として、これ以上ないものにする」ことを目指して執筆しました。ですので、Linuxについてまだ何も知らないという方の、1冊目としてはもちろんですし、イラストを中心としているような超入門書を読んだあとの、本格的に学び始める2冊目の本としてもおすすめできます。
そして、他教材でLinuxの基本を学んだ方の復習用教材としても利用できると思います。知識の確認には、演習問題を解くことが一番なので、本書の200本ノックが役立つはずです。また、他教材ではいまいち理解できなかった内容を、深く理解し直すこともできると思います。
その他、以下のような方にとって最適な教材となるように執筆しました。
- Linuxコマンドについて初めて学ぶ方
- Linuxの他の教材が難しくて挫折してしまった方
- 他教材で学んだ知識をノックで確認・定着させたい方
- Linuxコマンドがなかなか覚えられなくて困っている方
- よく使うLinuxコマンドを覚えてしまって業務の効率を上げたい方
- 何かを学ぶには演習問題を解くことが一番だと知っている方
- 「そもそも? なぜ?」といった根本の部分の理解を深めたい方
製作裏話
せっかくAmazonなどの商品ページではなく、この記事を見ていただいているので、本書の製作の裏話のようなことも少し書いておきたいと思います。
実のところ、本書の執筆にはかなり苦労しました。「処女作だったから」というのも苦労の理由の一つではあるのですが、本書の「コンセプトを実現するための苦労」が大部分を占めていたように思います。特に苦労したポイントとしては、以下の3つです。
- 本の構成
- ノックの問題数の調整
- 説明の工夫
苦労ポイント①:本の構成
まず、本の構成を考えるのに非常に苦戦しました。本書のコンセプトの核は「200本ノック」ですが、このノックをどのように配置するか?にかなり悩まされました。私の作りたいものの参考になる書籍が、まだこの世になかったので、0から構成を考える必要がありました。
構成を決めるヒントになったのは、私がこれまでに読んできた心理学の書籍でした。例えば以下のような書籍たちです。
「どのような構成にすれば、スムーズに学ぶことができるか?」をこれらの書籍をヒントに考え尽くした結果、本書の構成を上記のようにしました。心理学の研究から得られた知見を盛り込んでいるので、本書の構成に沿って読み進めるだけで、自然と効率的な学習ができるようになっているはずです。
苦労ポイント②:ノックの問題数の調整
ノックの問題数にも、苦労がありました。まず「全部で何問にするのか?」を決めなければいけません。本書の元になったUdemyのコース「もう絶対に忘れない Linux コマンド【Linux 100本ノック+名前の由来+丁寧な解説で、長期記憶に焼き付けろ!】」では150問でしたが、このコースを受講した方にも新たな学びがあるように、50問追加して「200本ノック」にすることにしました。
想像しづらいかもしれませんが、1冊の内容を200問ぴったりの問題数にするというのは、なかなか大変な作業です。問題の追加と削除を繰り返して、なんとか200問ぴったりにすることができましたが、直前まで変更を行なっていたこともあり、通常の書籍であれば2~3回程度しかやらない校正作業(PDFにコメントを入れて修正を行う作業)を、6回もやることになってしまいました。
とはいえ、追加と削除を繰り返したからこそ、厳選された良質な200問を用意することができたと思っています。良質な200問を何度も解くことで、Linuxの知識を素早く・深く身につけることができるはずです。
苦労ポイント③:説明の工夫
本書は「ちょっとしたプログラミング経験がある」程度のレベルの方を想定して執筆しています。そういったソフトウェア開発の初心者の方にとってもわかりやすいように、なるべく身近な例を使って、できる限り噛み砕いて解説を行いました。各節の解説を納得のいくものにするまでに、何度も書き直しましたし、どうしても納得いく解説が書けず、3日かけて書いた内容を、まるまる削除したりもしました。
特に、
- パーミッション・スーパーユーザー
- 標準入出力
- プロセスとジョブ
というような「Linuxにおける重要な概念だけども、わかりやすく説明するのが難しい」という項目は、私も例に漏れずかなり苦戦しました。ですが諦めずに考え抜いた結果、少なくとも私にとっては、どの書籍やWeb記事よりもわかりやすいものを書けたのではないかと思っています(もしわかりづらかったら、それは私の実力不足です。すみません、、)。
ですので、他書やWeb記事を読んでも、いまいち理解できなかった箇所があったら、本書を読むことできっと今よりも頭の中がすっきりするはずです。Linuxの基本事項の理解が甘いと感じたら、ぜひ手に取ってみてください。
というわけで
以上、著者本人によるレビューでした。
Linuxコマンドは、ソフトウェア開発を行うのであれば、ほぼ毎日使用するだけでなく、この業界では珍しく、一度学んでしまえばとても長い間使える「超高コスパ」の知識です。ソフトウェア開発業界は、ドッグイヤー(dog year)と呼ばれるほど変化の激しい業界ですが、Linuxコマンドの中には、40 年以上前から使われているコマンドも多数あります。このことからも、Linuxコマンドの知識の、とんでもない寿命の長さがわかるのではないでしょうか。
せっかく長く使える知識なら、なんとなく学んだだけの、付け焼刃の知識にしておくのではなく、本書で記憶に焼き付けて、一生モノのスキルを手に入れませんか?