こんにちは、教育系エンジニアのひらまつです。
わたくし、ひらまつですが、このブログのほかにSNSもやっています。TwitterとYouTubeをやっていますが、恥ずかしながらどちらも更新が滞っております。
というのも、SNSで情報発信するモチベーションがどうしても高まらなかったからです。私と同様に、この記事を読んでいる方にも、SNSやブログ・Qiitaなど、取り組んだ方が良いのはわかりつつも、いまいち取り組めていないというエンジニアの方も多いんじゃないでしょうか?
モチベーションが上がらない原因を小一時間考えたところ、モチベーションが上がらない構造があることが見えてきました。本記事では、その気づきをシェアするのと、そこから見えてきた、情報発信を成功させるための戦略について書いていきたいと思います。
この記事の結論
長い記事になるので、先に結論だけ書いておくと、
- 情報発信の機会費用が高いとうまくいかないので、機会費用を下げるのが大事。
- 例えば、プラットフォームへの依存度が低い自分のサービスを持ち、そのサービスへの集客のために情報発信する。
- もしくは、「自分が楽しめる」ことを重視して情報発信する。
- 情報発信の機会費用を極限まで下げて、実験を繰り返すことで、情報発信者としてのPMF(Product Market Fit)を達成する。
という感じになります。
情報発信をした方がいい理由
まず、そもそもなんで情報発信をした方がいいのかというと、知名度を得るためだと思います。なんで知名度を得た方がいいのかというと、知名度は収益に直結するからです。
芸能人やYouTuberを見ればわかりやすいですね。彼・彼女らは、広告塔になることで大きな収益を出しています。また、企業が高いお金を払ってCMを流すのも、知名度を得るためです。企業が売りたい商品を買ってもらうには、まず知ってもらう必要があります。
名前、ひいては存在を知ってもらうことは、ビジネスにおいてとても重要です。私もSNS経由で存在を知ってもらって、仕事を依頼していただいたケースが何件かあります。
私の本記事執筆時点での知名度はと言えば、
とかなり控えめな数字ですが、それでも仕事につながっているので、もっと多くの人に知ってもらったら、かなり大きな変化がありそうです。
情報発信がうまくいかない理由
しかし、このような情報発信のメリットというのは理解しつつも、なかなか継続できないという方が大半なんじゃないかなと思います。私だけが悩んでいるならば、私に問題がありそうですが、多くの人が共通の悩みを抱えているということは、個人の問題ではなく、そうなってしまう構造がある可能性が高いです。
そこで、どんな構造があるのかを小一時間考えてみたところ、「情報発信の機会費用が高い」という問題が見えてきました。
機会費用とはなにか
「機会費用」という用語になじみがないかもしれません。これは経済学の用語で、ごく簡単にいえば、「あるものを選択したことで得られなかったもの」くらいの意味になります。
例えば、1,000円を使うケースについて考えてみましょう。ある青年が、持っていた1,000円でお酒を買ったとします。このとき、お酒の「費用」は1,000円ですが、この支払った額以外にも隠れた費用が存在しています。それが機会費用です。
どういうことかと言うと、1,000円でお酒を買うという選択をしたことによって、1,000円で他の物を買う機会を失ったことになります。例えば、もし1,000円でお酒ではなく文庫本を買っていれば、生涯賃金を10万円増やせたかもしれません。また、その本を読んだことがきっかけで友達になれた人がいたかもしれません。
このように、費用=支払った額と思いがちですが、「あるものを選択したことで得られなかったもの」があって、それが「機会費用」という隠れた費用だよ!ということです。
ただ、経済学の話はもっとシンプルというか、財の生産の文脈で語られるので、具体的な数字で考えられるのですが、今回は少し意味を拡張して論じているので、ふんわりした概念になっています。ハース兄弟の決定力!でも登場しますね。
情報発信の機会費用が高いとうまくいかない
ここで話を戻しましょう。情報発信の機会費用が高いのが問題である、というのはどういうことかというと、「情報発信をするよりも価値の高い活動が他にあるから、情報発信に時間を使わないのでは?」ということです。
例えば、私のケースでいうと、SNSでの情報発信をさぼって何をしているのかというと、Udemyに出すプログラミング教材を作成していたり、技術書の執筆などを行っていたりします。これらの活動は、しばらく収益が発生しないSNSでの情報発信とは違って、確実に収益を増やすことができる活動です。そのため、SNSに時間を使うと、プログラミング教材作成という確実な収益を失うことになり、これがかなり大きな機会費用になってしまいます。ごく簡単にいえば、「SNSに使う○○時間があれば、教材作れるのでは?」となってしまうということです。
私のケース以外でも、手に職のあるエンジニアだと同様の構造になっていると思います。しばらく収益が発生しないSNSに時間を使うよりも、複数社で働くなど、開発に使う時間を増やした方が確実な収益になると思います。知名度がなくても、ある程度稼げている人ほど、情報発信の機会費用が高くなるということです。
このような構造があることがわかると、現在のトップYouTuberは、それまで無名だった若い人ばかりなのは、なぜなのかが見えてきます。彼・彼女らは良くも悪くも、ほかに十分な収入を生み出せる仕事がなく、YouTubeに取り組むしかなかった(機会費用が低かった)からです。「YouTubeなんてやらなくても、○○をやっていれば十分稼げる」という人は、機会費用が高すぎて、儲かるのかわからないYouTubeにフルコミットできなかったでしょう。(テレビの芸能人が最たる例ですね。)
情報発信を成功させるための戦略:機会費用を下げて実験を繰り返す
こういった「機会費用が高いからうまくいかない」という構造が見えてくると、それを踏まえた戦略を考えることが可能になります。戦略はごくシンプルで、機会費用を下げればいいだけです。
機会費用の下げ方
機会費用を下げるといっても、仕事をやめるなどして、今の稼ぎを減らす必要はないですし、なかなかそんな意思決定はできないと思います。大事なのは、機会費用を”相対的に”下げることです。
費用の高さというのは、収益との比で決まります。例えば、100万円の費用がかかる、言われたとき、その費用で10万円しか収益が増えないなら費用が高すぎますが、1,000万円儲かるならば安すぎる費用です。
つまり、SNSでの情報発信を行ったときに得られる収益の期待値が高まれば、機会費用は相対的に下がることになります。コロナ禍で芸能人がYouTubeに大量に流れ込んだ理由も、これで説明がつきます。YouTubeに取り組む機会費用が、芸能人の仕事が減って”絶対的”に下がっただけでなく、そのころにはYouTubeで稼いでいる芸能人が出てきていたので、YouTubeから得られる収益の期待値が高くなり、機会費用が”相対的”にも下がっていたからです。
具体的な方法
なので、私や私のような状況にある方にとっては、「情報発信から得られる収益の期待値を最大化する」のが基本の戦略になります。
具体的には、
- 自分のサービスを持って、集客によって収益が増える仕組みをあらかじめ用意しておく
- 広告収入が得られるSNSをやる
- など
というのが、基本の方針になるかなと思います。
特にエンジニアにとって役立つと思うのは、1つ目の方法です。きっとエンジニアであれば、自分の開発したサービスで飯を食うのは夢のひとつでしょう。
ここで大事なのは、自分のサービスは良くも悪くもプラットフォームへの依存度が低いということです。
例えば、Udemyはプラットフォームの依存度が高いです。Udemyでは、講師が集客をせずとも、Udemy社のマーケティングによってかなりの数のアクセスが発生しますが、その代わりに高い手数料を取られます(講師に入るのは3割程度)。一方で、Webサービスやネイティブアプリのサービスの場合、売り上げのほとんどが自分の収益になりますが、何もしないとアクセスがほとんど得られないため、自分で知名度をとる必要があります。つまり、プラットフォームへの依存度が低いです。
この、「プラットフォームに頼らず、自分で知名度を獲得しなければいけない」という状況が、情報発信を成功させるうえで非常に重要です。やはりどうしても、プラットフォームが集客してくれると、あえて自分が時間をかけてやらなくてもいいのでは、と思ってしまうものだからです。そう思ってしまわない強い心を持っている方は、すでに情報発信で成功していると思います。
また、情報発信の費用を絶対的に下げるのも大事です。例えば、
- 「楽しめる」ことを重視する(心理的な費用)
- 習慣化する(心理的な費用)
- 自身の既存のコンテンツを再利用する(時間・労力的な費用)
- など
などです。ここら辺は、発信者の気質にもよるので、自分にあった戦略を選ぶのが良いと思います。私の場合は、とにかく飽き性なので、「楽しめる」ことを重視する戦略がフィットすると思っています。
何を発信すればいいのか?
情報発信が続かない理由に、「何を発信すればいいのかわからない」というのがあると思いますが、この戦略を採用すると、この問いにも答えが出せます。
つまり、発信するべきなのは、「自分のサービスのユーザーになりそうな人が知りたがっている情報」です。Googleの社訓にもあるように、ユーザーにフォーカスすれば、その他ほとんどのことは勝手についてくるものです。
ですので、この条件を満たす情報を、発信の費用を下げて継続的に発信していきます。いろいろな切り口からの発信を試すことで、その発信者が得意とする情報発信が見えてくると思います。そうして、発信者としての、Product Market Fit(PMF)を達成します。
まとめ
というわけで、かなり長くなってしまったので、まとめておきましょう。
- 「あるものを選択したことで得られなかったもの」を機会費用という。
- 機会費用が高いと、ほかのことをやった方が得なので、情報発信にコミットできない。
- なので情報発信を成功させるためには、まず機会費用を下げるのが大事。
- おすすめの手段は、自分のサービスを作って、そこに集客するために知名度を得ること。
- 「自分が情報発信しないと、誰も使ってくれない」という状況が大事。
- 自分が楽しめる形の情報発信を見つけて、心理的な費用を下げることも大事。
- 「自分のサービスのユーザーになりそうな人が知りたがっている情報」を発信する。
- このルールの中で、いろいろな発信を試して、発信者としてPMFを達成する。
現時点では、これはあくまでも仮説ですので、この仮説をもとに、実際に情報発信をやっていきたいと思います。実践の結果も、ブログにて後日報告しますので、「仮説の信ぴょう性が疑問だ!」という方は、その結果を見てから、この戦略を採用するか判断されてもいいと思います。
なにはともあれ、まずは自分のサービスを持つことから始めていきます。現在、鋭意開発中なので、早く公開して、この仮説を試したいですねー。