「考えて、考えて、考える」という本を読みました。
棋士の藤井聡太さん初の対談本とのこと。
個人的に、棋士の方のマインドセットや考え方は、非常に勉強になる部分が多いと思っています。
それもそのはずで、棋士の方の多くは幼少の頃から将棋に人生を捧げているので、職業人生を非常に早くから始めるうえ、プロ棋士として生きるためには日々の研究や試行錯誤が欠かせないんですよね。
やはり、日々の試行錯誤がいちばん人間を成長させますからね。
将棋の世界よくわからんという方は、3月のライオンとかを観てみると興味が湧くんじゃないでしょうか。
本記事では、本書を読んでいて参考になった部分をいくつか紹介したいと思います。
結果より「次の一手」を意識する
藤井聡太さんが平常心を保つためにやっている工夫は、「結果ではなく次の一手を意識すること」らしいです。
目標を達成するためには、目標それ自体に注目するよりも、「目標を達成するための日々の行動」に注目した方がいい、という話ですね。
自己啓発の世界では、「目標を達成した姿をイメージしよう!」という教えがいまだにありますが、目標を達成した状態をイメージするのは、むしろモチベーションや達成率を下げるって話もポジティブ心理学にあったりします。
目標それ自体よりも、目標達成のための行動に注目する、というのは覚えておくべき教訓だと思いました。
息抜きに他の棋士の対局を見る
さすがの藤井聡太さんでも将棋のやる気が起きないときはあるようです。
そんなときには、息抜きとして他の棋士の対局の動画をソファで見るらしいです。
普通の人の感覚からしたら、「結局将棋を見るなら、息抜きになってないじゃないか!」と思ってしまいますね。笑
ただ、これにも科学的な妥当性はかなりあって、やる気が出ないときってただ単に飽きちゃってるだけのときも多いんですよね。
やる気がなくなった思っていたけど、タスクを切り替えたらやる気が復活した、みたいなことは誰しも経験があるんじゃないでしょうか。
いつもと違うアプローチで将棋に触れるというのは、飽きを防いだり気分転換できるという意味で効果的なんだと思います。
例えば英語の勉強でも、英作文→音読→単語→洋画見る、みたいにタスクを変えていけば、ずっと英語学習をしてるけど飽きが来ずに取り組めますもんね。
「はかどらないのはやる気の問題だ!」と考えるよりも、「ただ単に飽きているだけだ!」と考えるようにするだけで結構違うと思います。
パフォーマンスの平均を自分の実力と考える
藤井聡太さんは対局後に「実力以上の力が出せた」と言うことがあるようです。
ビッグマウスな発言と思われがちなのですが、この発言の「実力」というのは、パフォーマンスの平均値を意味しているとのこと。
その定義ならば、たしかに日によって平均を超えるパフォーマンスが出る場合も当然あるので、実力以上の力が出せた、というのは普通のことになりますね。
人間はどうしても自分の最高のパフォーマンスを自分の実力と考えてしまいがちですが、それだと平均的なパフォーマンスが出ても、スランプとか調子が悪いなどの言葉で片付けてしまって、自己研鑽しなくなってしまいがちですよね。
「実力は普段のパフォーマンスの平均値だ!」は、成長し続ける上でのかなりの重要ポイントです。
高校に行くことの意義を意識しながら通っていた
高校からは義務教育ではなくなるので、なぜ義務でない高校に通うのか?を意識した上で高校に通っていたとのこと。
将棋に割くことのできる時間を減らしてでも通う意味があるのか?ってことですね。
意義を意識しないと無駄な時間に終わってしまうから、だそうです。
ぐうの音も出ません。
高校生の段階でこの思考に到達するのはすご過ぎです。笑
特に習慣的な行動って、意義を考えずにやってしまいがちなので、定期的に「この行動ってなんのためにやっているんだっけ?」と考えるようにすると良さそうですね。
本棚がリビングにあったので本をよく読んだ
藤井聡太さんは幼い時から本をよく読んだらしいのですが、その理由として「リビングに本棚があって、いつでも本を手に取ることができたからではないか」と自己分析していました。
自己コントロールの基本は、増やしたい行動はやりやすく、減らしたい行動はやりづらくすることです。
例えばダイエットしたいなら、冷蔵庫にジュースを入れないで、冷凍フルーツで満たしておく、みたいな感じですね。
藤井家ではリビングに本棚を置くことで、本を読むという望ましい行動が増えるようにしていたんですね。
これは非常にシンプルながら効果の高い方法なので、自分の家庭でも実践していきたいと思いました。
まとめ
というわけで、「考えて、考えて、考える」は藤井聡太さんのことをよく知れる、なかなかの良書でした。
そのほかにもAIをどのように活用しているかなどの面白い話がありましたので、そちらは本書を参照されるといいかなと思います。
本書全体を通して思ったのは、藤井聡太さんはその年齢からは考えられないほど、精神的に成熟しているということです。
生まれつきの部分も少なからずあるのはもちろんですが、やはり日々真剣に将棋に取り組むことで、マインドセットや思考回路が出来上がっていったものかなと思います。
あらためて、高みを目指して日々試行錯誤する、熱中できるプロジェクトを持つということが、一番成長につながるのだなと感じました。
僕も教育者・エンジニアとしてまだまだ未熟なので、日々試行錯誤を繰り返していきたいですねー。